ADHDと不眠・日中の眠気|生活リズムが崩れる仕組みと整え方|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

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ADHDと不眠・日中の眠気|生活リズムが崩れる仕組みと整え方

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2026年1月18日

ADHDと不眠・日中の眠気|生活リズムが崩れる仕組みと整え方

ADHDと睡眠障害の深い関係

「夜になっても眠れない」「朝起きられない」「日中に強い眠気に襲われる」……こうした睡眠の悩みを抱えるADHD(注意欠如・多動症)の方は少なくありません。

実は、ADHDの方の約40~80%が何らかの睡眠障害を経験しているという報告があります。これは一般人口と比較して顕著に高い割合です。ADHDと睡眠の問題は単なる偶然の重なりではなく、脳の機能や神経伝達物質の働きといった生物学的な背景が関係していることが、近年の研究で明らかになってきました。

睡眠の質が低下すると、ADHD症状である不注意や多動性がさらに悪化し、日常生活や仕事、学業に大きな支障をきたします。逆に、ADHD症状が強く出ることで睡眠リズムが乱れるという「悪循環」も生じやすいのです。

本記事では、精神科専門医の視点から、ADHDと睡眠障害の関係性、そのメカニズム、そして具体的な対処法について詳しく解説していきます。

ADHDに多い睡眠障害の特徴

ADHDの方に見られる睡眠障害には、いくつかの特徴的なパターンがあります。それぞれの症状を理解することが、適切な対処への第一歩となります。

「入眠困難」と「中途覚醒」

最も多く見られるのが、夜になっても落ち着かず、なかなか寝つけない「入眠困難」です。興味のあることに夢中になってしまい、気づけば深夜になっているというケースも少なくありません。また、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」も頻繁に報告されています。

これらの症状は、ADHDの特性である「注意の切り替えの困難さ」や「過集中」と深く関係しています。脳が活動モードから休息モードへスムーズに移行できず、結果として睡眠の質が低下してしまうのです。

「日中の過度な眠気」と「睡眠リズムの異常」

一方で、日中に強い眠気に襲われる「過眠」の傾向も見られます。特に、興味のない授業や会議など、刺激の少ない場面では眠気が強く出やすいという特徴があります。これは、ADHDの脳が「覚醒度を維持するための刺激」を必要としているためと考えられています。

また、夜型の生活になりがちで、朝起きられないという「睡眠リズムの異常」も頻繁に見られます。体内時計(概日リズム)の調整がうまくいかず、社会生活との間にズレが生じてしまうのです。

ADHDの方はそうでない方と比べて約1.9倍眠気が強く出やすいという報告もあり、日中の眠気は単なる「寝不足」ではなく、ADHD特有の症状として理解する必要があります。

なぜADHDで睡眠リズムが崩れるのか?

ADHDと睡眠障害の関係には、複数のメカニズムが関与していることが分かってきています。単なる生活習慣の問題ではなく、脳の機能や神経伝達物質のレベルでの変化が背景にあるのです。

「神経伝達物質」の働きの偏り

ADHDでは、注意や行動の調整に関わる神経伝達物質である「ドーパミン」の働きに偏りがあることが知られています。ドーパミンは覚醒や報酬系にも関与しており、その調整がうまくいかないことで、睡眠と覚醒のバランスが崩れやすくなります。

また、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌リズムにも異常が見られることがあります。メラトニンは通常、夜間に分泌が増えて眠気を誘いますが、ADHDの方ではこの分泌タイミングが遅れる傾向があり、結果として入眠が遅くなるのです。

「覚醒度の調整」がうまくいかない

興味深いことに、ADHDの方は「退屈になると眠くなる」という特徴があります。これは、やる気や興味、関心が覚醒度を上げるという脳のメカニズムが強く働いているためと考えられています。

つまり、刺激の少ない環境では覚醒度が低下して眠気が出やすく、逆に興味のあることには過集中してしまい、夜遅くまで活動を続けてしまうのです。この「覚醒度の調整の困難さ」が、睡眠リズムの乱れにつながっています。

「遺伝的要因」と「環境要因」の相互作用

2020年に発表された研究では、ADHDと睡眠障害(特にナルコレプシー)の間に遺伝的な関連があることが明らかになりました。神経伝達物質に関与する遺伝子や免疫系を支えるグリア細胞に関わる遺伝子に共通点が見つかっており、両者は遺伝子レベルでつながっている可能性が高いのです。

また、日常生活におけるストレスや自己肯定感の低下も、睡眠の質に大きく影響します。ADHDの方は「忘れ物」「遅刻」「ミス」などが積み重なることで心理的なストレスが高まりやすく、それが不眠や歯ぎしりといった症状を引き起こすこともあります。

生活リズムを整えるための具体的な対処法

睡眠の問題を改善するためには、薬物療法だけでなく、生活習慣の見直しや環境調整が重要です。ここでは、日常生活で実践できる具体的な方法をご紹介します。

「睡眠衛生」の基本を見直す

まず取り組みたいのが、睡眠衛生の改善です。以下のポイントを確認してみましょう。

  • 寝る前のスマートフォン使用を控える……ブルーライトがメラトニン分泌を抑制し、入眠を妨げます。
  • ベッドは寝るためだけに使う……ベッドで勉強やゲームをすると、脳が「覚醒の場所」と認識してしまいます。
  • 15時以降のカフェイン摂取を避ける……コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどは覚醒作用が長時間続きます。
  • 寝室の環境を整える……暑すぎず、騒音のない静かな環境を作ることが大切です。

これらは基本的なことですが、ADHDの特性として「ルーティンの維持が苦手」という面があるため、意識的に習慣化する工夫が必要です。

「メラトニン製剤」の活用

入眠困難が強い場合、メラトニン製剤の使用を検討することがあります。小児であれば「メラトベル」、成人には「ロゼレム」が処方されることがあり、これらは睡眠リズムを整える効果が期待できます。

ただし、メラトニン製剤は「眠らせる薬」ではなく、「体内時計を調整する薬」です。効果が出るまでに数週間かかることもあるため、焦らず継続することが大切です。また、漢方薬が有効な場合もあり、個々の症状に応じた選択が重要になります。

「日中の過ごし方」を工夫する

日中の過ごし方も、夜の睡眠に大きく影響します。以下のような工夫が有効です。

  • 朝の光を浴びる……起床後すぐに太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされます。
  • 適度な運動を取り入れる……日中の身体活動は、夜の睡眠の質を高めます。ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果です。
  • 昼寝は15時前に20分以内……長時間の昼寝や夕方以降の昼寝は、夜の入眠を妨げます。
  • 興味のあることに取り組む時間を確保する……適度な刺激が覚醒度を維持し、日中の眠気を軽減します。

特にADHDの方は、「やる気が上がるような環境」を作ることが、日中の眠気を解消するヒントになります。

ADHD治療薬と睡眠の関係

ADHD治療薬を服用している場合、その影響で睡眠に変化が出ることがあります。薬の種類や服用時間によって、睡眠への影響は異なります。

「中枢刺激薬」の影響

メチルフェニデート(コンサータ)やアンフェタミン系の薬は、覚醒作用があるため、服用時間が遅いと入眠困難を引き起こすことがあります。一方で、日中の覚醒度が上がることで、夜の睡眠リズムが整うケースもあります。

服用のタイミングや量については、主治医と相談しながら調整することが重要です。

「非刺激薬」の選択肢

アトモキセチン(ストラテラ)やグアンファシン(インチュニブ)といった非刺激薬は、覚醒作用が少なく、睡眠への影響が比較的軽微です。睡眠障害が強い場合には、これらの薬が選択されることもあります。

ただし、効果の出方や副作用には個人差があるため、医師との綿密なコミュニケーションが欠かせません。

うつ病や不安障害との「併存」に注意

ADHDの方は、うつ病や不安障害を併発しやすいことが知られています。ある調査では、ADHD群で「うつ病を診断された経験がある」割合が49%という報告もあります。

睡眠障害は、これらの精神疾患とも深く関連しています。不眠が続くことで抑うつ症状が悪化し、逆にうつ状態が睡眠の質をさらに低下させるという悪循環が生じやすいのです。

「眠れない」だけでなく、「気分の落ち込み」「意欲の低下」「不安感」などが続く場合には、早めに専門医に相談することが大切です。うつ病が併存している場合には、まずうつ病の治療を優先し、症状が安定してからADHD治療を進めることもあります。

専門医への相談のタイミング

「いつ病院に行くべきか?」と悩む方も多いでしょう。以下のような状況が続く場合には、早めの受診をお勧めします。

  • 週に3回以上、3か月以上にわたって入眠困難や中途覚醒が続いている
  • 日中の強い眠気が仕事や学業に支障をきたしている
  • 朝起きられず、遅刻や欠勤が頻繁に起こっている
  • いびきや無呼吸の症状がある
  • 気分の落ち込みや不安感が強く、日常生活に影響が出ている

睡眠障害は、放置すると心身の健康に深刻な影響を及ぼします。「単なる寝不足」と軽視せず、専門医の診察を受けることが、生活の質を取り戻す第一歩となります。

まとめ:ADHDと睡眠の問題は「治療可能」です

ADHDと睡眠障害は、深い関係性があり、互いに影響し合っています。しかし、適切な診断と治療、そして生活習慣の見直しによって、症状は改善可能です。

睡眠の質が向上すれば、ADHD症状も軽減し、日常生活がより過ごしやすくなります。「眠れない」「起きられない」「日中眠い」といった悩みを一人で抱え込まず、専門医と一緒に解決策を見つけていきましょう。

シモキタよあけ心療内科では、ADHDや睡眠障害に対する専門的な診療を行っています。精神科専門医が、お一人おひとりの症状に合わせた治療プランをご提案いたします。下北沢駅から徒歩1分とアクセスも良好で、完全予約制でお待たせしません。

睡眠の悩みでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。詳細はこちら:シモキタよあけ心療内科

著者プロフィール 

シモキタよあけ心療内科 院長 副島正紀」

〜こころに、よあけを〜

【資格・所属学会】

認知症診療医

日本精神神経学会 精神科専門医

日本精神神経学会 精神科指導医

精神保健指定医

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