2026年1月11日


うつ病で集中できない理由とは?思考力・判断力が落ちる仕組みを解説
うつ病で集中力が低下する理由
うつ病になると、仕事や勉強に集中できなくなることがあります。
「資料を読んでいても頭に入ってこない」「会議の内容が理解できない」「いつもならすぐに終わる作業に何時間もかかってしまう」・・・こうした症状に悩まされている方は少なくありません。

実は、うつ病における集中力の低下は「気の持ちよう」ではなく、脳の機能変化によって引き起こされる医学的な症状なのです。
本記事では、精神科専門医の視点から、うつ病で集中できなくなる仕組みと、思考力・判断力が低下する理由について詳しく解説していきます。
うつ病が脳に与える影響とは
うつ病は単なる「気分の落ち込み」ではありません。
脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで、脳の機能そのものが低下する病気です。特に、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった神経伝達物質の働きが悪くなると、情報処理能力や注意力、記憶力といった認知機能全般に影響が及ぶのです。
「ブレインフォグ」という状態
うつ病の患者さんが訴える「頭の中に霧がかかったような感覚」は、医学的に「ブレインフォグ」と呼ばれています。
これは、頭の中がもやもやとして、考えることや集中することが難しい状態を指すものです。記憶障害や集中力の低下がみられ、思考がスムーズに回らず、判断力や意思決定能力が低下していることもあります。
ブレインフォグは医学用語として厳密に定義されているわけではありませんが、「脳の霧」という症状として認識されており、身体のどこかが正常に機能していないことの現れといえるでしょう。
脳の疲労が蓄積する仕組み
うつ病では、抑うつ気分や不安などが持続するため、脳が常に緊張状態にあります。
ストレスによって情緒が大きく変化し、普段の生活や社会活動を送る上で困難が生じる状態が続くと、脳が疲労して頭が働かなくなるのです。脳に負荷がかかり続けることで、集中力や思考力が著しく低下していきます。

集中力が続かない具体的な症状
うつ病による集中力の低下は、日常生活のさまざまな場面で現れます。
仕事でのケアレスミスが増える
集中力が続かないと、見落としやうっかりミスなどのケアレスミスが起こりやすくなります。「資料に重大な誤字があった」「データに入力間違いがあり、全てやり直しになった」など、ちょっとしたミスが重大な事故や損害に繋がることも少なくありません。
普段なら気づくはずの間違いに気づけなくなるのは、注意力が散漫になっているサインといえるでしょう。
思考力や判断力の低下
うつ病では、思考力や集中力が低下したり、判断力が鈍ったりします。
「考え事をしていたのに、途中で止まってしまい、知らぬ間に時間が経っていた」「作業中にも関わらず、いつの間にか手が止まっていた」などの現象がみられるのです。これは、脳の神経伝達の働きが悪くなるため、頭の回りも悪くなることが原因となっています。
モチベーションの著しい低下
集中力はモチベーションにも影響します。
集中力が続かないと深く物事に取り組むことができないため、興味が湧かずにモチベーションの低下を引き起こしやすくなるのです。一旦モチベーションが低下してしまうと、どれだけ集中しやすい環境であっても、集中力を維持することがとても難しくなります。
作業効率の大幅な低下
勉強や仕事の効率は、集中力によって大きく左右されます。
集中すれば短時間で終わることも、集中力が続かないと勉強や仕事がはかどらずに時間だけが過ぎていってしまうのです。そのため、やらなければならないことに追われてしまい、ストレスの原因にもなります。
うつ病で集中できない原因
うつ病による集中力低下には、複数の要因が関係しています。
脳内神経伝達物質の変化
うつ病になると脳の神経伝達の働きが悪くなるため、頭の回りも悪くなります。
セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の不足は、情報処理速度の低下や注意力の散漫さに直結するのです。これは単なる「やる気の問題」ではなく、脳の生化学的な変化によるものといえます。
睡眠障害による影響
うつ病では、寝つきが悪い、朝早く意図しない時間帯に目が覚めてしまうなど、不眠の状態が長期間続くケースが多くみられます。
睡眠不足はさまざまな不調を引き起こしますが、眠気は集中力も低下させるのです。十分な睡眠が取れないことで、脳が十分に休息できず、日中の集中力が著しく低下します。
精神的ストレスの蓄積
悩みや不安など精神的なストレスがあると、そちらに意識が向いてしまい、目の前の作業に集中することができません。
社会生活の中で職場の人間関係や仕事の負担、家庭における何かしらの問題などで強いストレスを抱える人も多いでしょう。そのストレスや不安な状態が続くと、睡眠不足や食欲不振などを引き起こす可能性があり、ブレインフォグも同時に発症している場合があります。

身体症状による影響
うつ病では、頭痛、肩こり、動悸、食欲の低下など、さまざまな身体症状が現れます。
体調が悪い状態や、肉体の疲労がある状態では、不調な部分に意識が向いてしまうため集中力を発揮させることができません。疲労が取れにくく感じる傾向があり、朝、起床時に疲れがまったくとれていない、身体が重いと感じる状態が続く場合は注意が必要です。
集中力低下への対処法
うつ病による集中力低下には、適切な対処が必要です。
専門医への早期相談
1〜2週間以上続けて頭が働かない状態が続くときは、心の病を治療する専門医に診てもらうほうがよいでしょう。
適応障害やうつ病のときは、原因や症状が複雑であり、自力で対処するのは困難です。また仕事上のトラブルや交通事故などのリスクが高まります。精神科、精神神経科、心療内科、メンタルヘルス科などの医師に相談することをお勧めします。
薬物療法による治療
抗うつ薬などの薬物治療により、うつ病の症状を改善させることができます。
脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、集中力や思考力の回復が期待できるのです。ただし、薬の効果が現れるまでには一定の時間がかかることを理解しておく必要があります。
環境調整とストレス軽減
症状が軽ければ、仕事量を調整する、職場環境を整える、ストレス解消法をみつける、十分に休養するなどで対処すれば、短期間のうちに自然に治ることも少なくありません。
周囲の話し声や足音などが気になり集中できないケースや、部屋が暑かったり寒いなどの温度によっても集中力を妨げる要因となるため、環境を整えることも重要といえるでしょう。
休職・復職のサポート
病状に応じ、お勤めの会社に提出する診断書・傷病手当等の書類作成が可能です。
休職中は復職に向けた療養アドバイスを受けることで、段階的に回復を目指すことができます。無理をせず、医師の指導のもとで適切な休養を取ることが、長期的な回復につながるのです。
うつ病と他の疾患との見分け方
集中力の低下は、うつ病以外の疾患でも起こります。
適応障害との違い
適応障害は、ストレス因子により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態です。
うつ病と症状が重なることが多いため、実際は抗うつ薬の服用や減量によるブレインフォグの発症なのか、それともうつ病の症状が変化しているのかといった判断が難しい場合があります。専門医による正確な診断が必要といえるでしょう。
発達障害との関連
大人の発達障害でも、注意散漫や集中力の低下がみられることがあります。
「気が散ってしまう」「忘れ物・遅刻癖がある」といった症状は、ADHDなどの発達障害の特徴でもあるのです。うつ病と発達障害が併存している場合もあるため、発達障害スクリーニング検査により、自閉症(ASD)、アスペルガー障害、ADHDの診断も検討する必要があります。
認知症との鑑別
高齢者の場合、うつ病と認知症の鑑別が重要になります。
認知症では記憶力・判断力が衰え、頭が働かなくなる病気ですが、記憶力が徐々に衰えていく点がうつ病とは異なるのです。近年の研究から、中高齢で発症する気分障害が認知症の前駆症状である可能性も指摘されており、注意深い観察が必要といえます。

シモキタよあけ心療内科でのサポート
うつ病による集中力低下でお悩みの方は、専門的な治療とサポートが必要です。
シモキタよあけ心療内科では、精神科専門医による質の高い医療で皆さまの心のやすらぎをご提供いたします。下北沢駅より徒歩1分という好アクセスで、完全予約制のため待ち時間も少なく、ウェブ・アプリより24時間予約が可能となっています。
専門医による丁寧な診察
精神科専門医・指導医、精神保健指定医、認知症診療医の資格を持つ医師が在籍しており、うつ病、不眠症、適応障害など幅広い精神科疾患に対応しています。
お悩みや症状をお伺いし、医師の診察は約30分です。必要に応じて採血、心理検査等を行い、一人ひとりに合わせた治療プランをご提案いたします。
カウンセリングと心理検査
公認心理士、臨床心理士の資格を持った専門スタッフがカウンセリングを行い、薬物療法だけに頼らない治療を行います。
また、発達障害スクリーニング検査により、自閉症(ASD)、アスペルガー障害、ADHDの診断も可能です。集中力低下の背景にある問題を多角的に評価し、適切な治療方針を立てることができるのです。
休職・復職のサポート体制
病状に応じ、お勤めの会社に提出する診断書・傷病手当等の書類作成が可能です。
休職中は復職に向けた療養アドバイスを行い、段階的な回復をサポートします。診断書は当日作成しますので、お急ぎの方にも対応できます。
まとめ
うつ病で集中できないのは、脳の機能変化によって引き起こされる医学的な症状です。
脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで、情報処理能力や注意力、記憶力といった認知機能全般に影響が及びます。「ブレインフォグ」と呼ばれる状態では、頭の中に霧がかかったような感覚で、思考力や判断力が著しく低下するのです。
集中力の低下は、仕事でのケアレスミスの増加、モチベーションの低下、作業効率の大幅な低下など、日常生活のさまざまな場面で影響を及ぼします。
これらの症状が1〜2週間以上続く場合は、早めに専門医に相談することが重要です。
適切な治療により、脳の機能は回復し、集中力や思考力も改善していきます。薬物療法、カウンセリング、環境調整、そして必要に応じた休職など、総合的なアプローチで回復を目指すことができるのです。
うつ病による集中力低下でお悩みの方は、一人で抱え込まずに、専門的なサポートを受けることをお勧めします。
詳しい診療内容や予約方法については、シモキタよあけ心療内科の公式サイトをご覧ください。
著者プロフィール
「シモキタよあけ心療内科 院長 副島正紀」

〜こころに、よあけを〜
【資格・所属学会】
認知症診療医
日本精神神経学会 精神科専門医
日本精神神経学会 精神科指導医
精神保健指定医