不眠症の自己診断チェックリスト|放置すべきでないサインと受診のタイミング|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

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不眠症の自己診断チェックリスト|放置すべきでないサインと受診のタイミング

不眠症の自己診断チェックリスト|放置すべきでないサインと受診のタイミング|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

2025年12月07日

不眠症の自己診断チェックリスト|放置すべきでないサインと受診のタイミング

眠れない夜が続くとき、それは単なる疲れではないかもしれません

夜、ベッドに入っても眠れない。

何度も目が覚めてしまう。朝早く目覚めて、そのまま眠れなくなる。このような経験が続くと、日中の活動にも影響が出てきます。「少し疲れているだけ」「そのうち治るだろう」と放置していませんか?実は、不眠症は早期発見・早期治療が非常に重要な疾患です。精神科専門医として多くの患者さんを診てきた経験から、不眠症の自己診断方法と、医療機関を受診すべきタイミングについて詳しく解説します。

不眠症とは何か〜単なる「眠れない」との違い

不眠症は、単に「眠れない」という状態ではありません。

医学的には、**入眠困難(寝つきが悪い)**、**中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)**、**早朝覚醒(朝早く目が覚めてしまう)**、**熟眠障害(ぐっすり眠れた感じがしない)**のいずれかが週に3回以上、少なくとも1ヶ月以上続き、かつ日中の生活に支障が出ている状態を指します。重要なのは、睡眠時間の長さだけでなく、**睡眠の質**と**日中への影響**です。

日本では100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験するとされており、不眠症はその初期症状として現れることも少なくありません。特に注目すべきは、**不眠症患者の約80%が何らかの睡眠の問題を抱えている**という調査結果です。睡眠は心身の健康を維持するために不可欠な生理機能であり、その乱れは将来的な健康リスクにつながる可能性があります。

不眠症の4つのタイプを理解する

不眠症には主に4つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

1. 入眠困難・・・ベッドに入ってから眠るまでに30分以上かかる状態です。布団に入っても頭が冴えてしまい、考え事が止まらない、体は疲れているのに眠れないといった症状が特徴的です。ストレスや不安が原因となることが多く、若い世代に比較的多く見られます。

2. 中途覚醒・・・夜中に何度も目が覚めてしまい、再び眠りにつくのが難しい状態です。一度目が覚めると、そこから1時間以上眠れないこともあります。中高年に多く見られ、加齢とともに増加する傾向があります。

3. 早朝覚醒・・・自分が起きたい時間よりも2時間以上早く目が覚めてしまい、その後眠れない状態です。特にうつ病に特徴的な睡眠パターンで、午前3時頃に目が覚め、再び眠ることができなくなります。高齢者やうつ病患者に多く見られます。

4. 熟眠障害・・・睡眠時間は十分なはずなのに、朝起きても疲れが取れず、ぐっすり眠れた感じがしない状態です。睡眠の質が低下しており、日中の眠気や倦怠感につながります。

不眠症の自己診断チェックリスト〜アテネ不眠尺度を活用する

自分の睡眠状態を客観的に評価する方法があります。

医療現場でも使用される「**アテネ不眠尺度**」は、不眠症のスクリーニングに有効なツールです。最近1ヶ月間で、少なくとも週3回以上経験した状態について、以下の8つの質問に答えてみてください。各質問は0〜3点で評価し、合計点数で不眠症の可能性を判定します。

8つのチェック項目

1. 寝つきについて(布団に入って電気を消してから眠るまでの時間)

0点:問題なし

1点:少し時間がかかる

2点:かなり時間がかかる

3点:非常に時間がかかる、または全く眠れない

2. 夜間の覚醒について

0点:問題なし

1点:少し困る

2点:かなり困る

3点:深刻、または全く眠れない

3. 早朝覚醒について(希望する起床時間より早く目が覚める)

0点:そのようなことはない

1点:少し早い

2点:かなり早い

3点:非常に早い、または全く眠れない

4. 総睡眠時間について

0点:十分

1点:少し足りない

2点:かなり足りない

3点:全く足りない、または全く眠れない

5. 全体的な睡眠の質について

0点:満足している

1点:少し不満

2点:かなり不満

3点:非常に不満、または全く眠れない

6. 日中の気分について

0点:いつも通り

1点:少し低下

2点:かなり低下

3点:非常に低下

7. 日中の身体的・精神的な活動について

0点:いつも通り

1点:少し低下

2点:かなり低下

3点:非常に低下

8. 日中の眠気について

0点:全くない

1点:少しある

2点:かなりある

3点:激しい

判定基準と結果の解釈

合計点数によって、不眠症の可能性を以下のように判定します。

**0〜3点**・・・不眠症の可能性は低いです。現在の睡眠状態は比較的良好と考えられます。ただし、睡眠は年齢や生活環境の変化によって影響を受けやすいため、今後も睡眠衛生に気をつけることが大切です。

**4〜5点**・・・不眠症の疑いが少しあります。睡眠環境や生活習慣を見直すことで改善する可能性があります。セルフケアを2週間程度続けても改善が見られない場合は、医療機関への相談を検討してください。

**6点以上**・・・不眠症の疑いがあります。日中の生活に支障が出ている可能性が高く、専門医の診察を受けることをおすすめします。不眠症はうつ病や不安症といった精神疾患の初期症状であることも少なくありません。早期の受診が重要です。

放置すべきでない危険なサイン〜受診を急ぐべき症状

不眠症には、特に注意が必要なサインがあります。

以下のような症状が現れた場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。これらは単なる不眠症ではなく、より深刻な健康問題のサインである可能性があります。

身体的な危険サイン

吐き気やめまいが続く・・・強いストレスによって自律神経のバランスが崩れると、消化器系の機能や内耳機能が正常に働かなくなり、吐き気やめまいを引き起こします。朝起きるのが辛い、体がだるいといった症状に加えて、吐き気やめまいが続く場合は要注意です。

頭痛や動悸が起こる・・・これも自律神経のバランスの崩れが原因と考えられます。起床時に副交感神経から交感神経への切り替えがうまくいかないと、頭痛や動悸といった症状が現れることがあります。

朝起きられない・・・睡眠不足や疲労が残っていると、脳や体が十分に回復できていないため、起きようと思っても体がだるく動かすことができません。また、低血圧によって脳に酸素が十分に行き渡っていない場合も、目覚めてもすぐに体を動かすことができません。

精神的な危険サイン

食欲不振と睡眠障害が同時に現れる・・・食欲がなく、夜もよく眠れない状態が続く場合、うつ病のサインである可能性があります。脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)のバランスが崩れることで、食欲と睡眠の両方に影響が出ます。

気分の落ち込みが2週間以上続く・・・興味や喜びの喪失、集中力の低下、自責感などの精神症状に加えて、不眠が続く場合は、うつ病の可能性を考慮する必要があります。うつ病患者の多くが最初に身体症状を訴えることがあり、「仮面うつ病」と呼ばれることもあります。

仕事や学校に行くのが怖い・・・「会社に行くのが憂うつ」「朝起きるのが辛い」「体がだるい」といった症状が続き、職場や学校への恐怖感が強い場合は、適応障害やうつ病の可能性があります。無理をしたまま仕事に行き続けると、体や心にさまざまな不調が現れることがあります。

生活への影響が大きいサイン

日中の眠気で仕事や学業に支障が出る・・・会議中に居眠りをしてしまう、運転中に眠気を感じる、学校の授業に集中できないなど、日常生活に明らかな支障が出ている場合は、早急な対処が必要です。

人間関係に悪影響が出る・・・睡眠不足によってイライラしやすくなり、家族や同僚との関係が悪化している場合も要注意です。感情のコントロールが難しくなることは、不眠症の重要なサインの一つです。

体重の急激な変化・・・2週間で体重の5%以上の減少または増加が見られる場合は、うつ病などの精神疾患の可能性があります。食欲不振や過食は、脳内の神経伝達物質の働きが低下することで生じます。

受診のタイミングと医療機関の選び方

では、いつ医療機関を受診すべきでしょうか?

基本的な目安として、**睡眠に関する問題が2週間以上続き、日中の生活に支障が出ている場合**は、医師の診察を受けることをおすすめします。特に、セルフケア(生活習慣の改善、睡眠環境の整備など)を2週間程度実践しても改善が見られない場合は、専門医への相談が必要です。

どの診療科を受診すべきか

不眠症の診療は、主に**精神科**、**心療内科**、**睡眠外来**で行われます。

**精神科・心療内科**・・・うつ病や不安障害など、精神疾患に伴う不眠症の診療に適しています。精神科専門医による質の高い医療を受けることができ、必要に応じてカウンセリングや心理検査も受けられます。当院のような精神科専門医が在籍するクリニックでは、不眠症だけでなく、背景にある精神的な問題も含めて総合的に診療します。

**睡眠外来**・・・睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群など、特定の睡眠障害が疑われる場合に適しています。睡眠ポリグラフ検査などの専門的な検査を受けることができます。

**内科**・・・まずは内科を受診して、身体的な病気が原因でないか確認することも一つの方法です。検査で異常がなければ、精神科や心療内科への紹介を受けることができます。

初診時に準備すべきこと

医療機関を受診する際は、以下の情報を整理しておくとスムーズです。

1. 睡眠日誌をつける・・・1〜2週間程度、就寝時刻、起床時刻、夜間の覚醒回数、日中の眠気などを記録しておくと、医師が正確な診断をする助けになります。

2. 現在服用している薬の情報・・・お薬手帳を持参するか、服用している薬のリストを作成しておきましょう。他の病気で服用している薬が不眠の原因となっている場合もあります。

3. 生活習慣の情報・・・カフェインやアルコールの摂取量、運動習慣、仕事のストレス状況などを整理しておくと、原因の特定に役立ちます。

4. 他院からの紹介状・・・他の医療機関で検査を受けている場合は、紹介状や検査結果を持参してください。

当院での診療の流れ

シモキタよあけ心療内科では、完全予約制を採用しており、ウェブやアプリから24時間予約が可能です。初診の流れは以下の通りです。

1. ウェブ予約・・・当院のウェブサイトまたはデジスマアプリから初診予約をしていただきます。受診するべきか分からない場合は、お気軽にお電話ください。専門の看護師が病状を伺い、対応いたします。

2. 初診用問診・・・来院前にスマホやPCから初診用問診を入力していただきます(所要時間約10分)。ご本人以外でも入力可能です。

3. 来院・・・受付に保険証・マイナ保険証をお渡しください。お薬手帳や他院からの紹介状がありましたら、直接医師にお渡しください。

4. 診察・・・お悩みや症状を詳しく伺います。医師の診察は約30分です。必要に応じて採血や心理検査を行い、一人ひとりに合わせた治療プランをご提案します。

5. 会計・・・お会計後、処方箋や診断書などをお受け取りください。各種キャッシュレス決済・クレジットカード決済に対応しています。診察券はアプリ(デジスマ)になりますので、当日ご案内いたします。

不眠症の治療法〜薬物療法と非薬物療法

不眠症の治療は、原因に応じて適切な方法を選択します。

主な治療法には、**薬物療法**と**非薬物療法**があり、多くの場合、両方を組み合わせて行います。

非薬物療法の重要性

まず重要なのは、生活習慣の見直しと睡眠環境の改善です。これらは「**睡眠衛生**」と呼ばれ、不眠症治療の基本となります。

睡眠環境の整備・・・寝室の温度(16〜19度が理想)、湿度(50〜60%が理想)、照明(暗めに調整)、騒音(静かな環境)などを最適化します。寝具も自分に合ったものを選ぶことが大切です。

規則正しい生活リズム・・・毎日同じ時刻に起床し、朝日を浴びることで体内時計をリセットします。休日も平日と同じ時刻に起きることが理想的です。

カフェインとアルコールの制限・・・カフェインは就寝の4〜6時間前までに控え、アルコールは睡眠の質を低下させるため、寝酒は避けましょう。

適度な運動・・・日中の適度な運動は睡眠の質を向上させますが、就寝直前の激しい運動は逆効果です。夕方までに運動を終えるようにしましょう。

リラクゼーション法・・・就寝前の入浴(38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分)、深呼吸、軽いストレッチなどでリラックスする時間を作りましょう。

認知行動療法(CBT-I)

不眠症に対する認知行動療法(CBT-I: Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)は、薬物療法と同等またはそれ以上の効果があることが証明されています。

当院では、公認心理士・臨床心理士の資格を持った専門スタッフがカウンセリングを行い、薬物療法だけに頼らない治療を提供しています。CBT-Iでは、睡眠に対する誤った認識を修正し、適切な睡眠習慣を身につけることを目指します。

薬物療法

非薬物療法だけでは改善が難しい場合、睡眠薬を使用することがあります。

現在使用される睡眠薬は、以前のものと比べて依存性が低く、安全性が高くなっています。主な種類として、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などがあり、不眠のタイプや患者さんの状態に応じて適切な薬を選択します。

睡眠薬は「一度飲んだらやめられない」というイメージがあるかもしれませんが、適切に使用すれば安全に減薬・中止することができます。重要なのは、自己判断で服用を中止せず、医師の指導のもとで徐々に減量していくことです。

まとめ〜早期発見・早期治療が健康寿命を守る

不眠症は「少し眠れないだけ」と軽視されがちですが、放置すると心身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

アテネ不眠尺度で6点以上の方、吐き気やめまい、頭痛や動悸などの身体症状がある方、食欲不振と睡眠障害が同時に現れている方は、早めに医療機関を受診してください。不眠症は適切な治療によって改善できる疾患です。生活習慣の見直し、睡眠環境の整備、必要に応じた薬物療法やカウンセリングを組み合わせることで、質の良い睡眠を取り戻すことができます。

当院は下北沢駅から徒歩1分という好アクセスに位置し、精神科専門医による質の高い医療を提供しています。完全予約制でウェブ・アプリから24時間予約可能ですので、お気軽にご相談ください。診断書は当日作成可能で、休職・復職のサポートも行っています。

眠れない夜が続くとき、それは体と心からのSOSかもしれません。一人で悩まず、専門医に相談することが、健康な生活への第一歩です。

不眠症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。詳細はこちら:シモキタよあけ心療内科

著者プロフィール 

シモキタよあけ心療内科 院長 副島正紀」

〜こころに、よあけを〜

【資格・所属学会】

認知症診療医

日本精神神経学会 精神科専門医

日本精神神経学会 精神科指導医

精神保健指定医

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