2024年10月05日
みなさん睡眠薬についてご存じでしょうか。 一般的には睡眠薬って「飲まないと寝られない体質になってしまうんじゃないか」「そもそも睡眠薬は悪なんじゃないか」 という疑問も持たれると思います。
今回は睡眠薬の正確な情報をお伝えして、 安心して治療を受けてもらえるように説明します。
睡眠薬は奥が深いので、基本編、応用編と動画を2本に分けてお伝えします。
メリットとデメリット
よく薬自体を評価するときに「絶対飲んじゃいけない」というのは間違ってます。 どんな薬にもメリットとデメリットがあるので、そのデメリット、睡眠薬なら「依存性」「日中の眠気」とかそれだけを抜き出して悪い薬だ、と判断するのは簡単なんです。 デメリットよりもメリットが上回っていると判断したうえで、できるだけ害を及ぼさないように処方するのが専門医の仕事です。 会社の経営判断と同じですね、リスクはゼロではないですが、最大の利益を得るための判断、というようなイメージです。
なので内科の先生でも睡眠薬は処方することはできますが、精神科専門医は睡眠のことを専門的に勉強してきたので、リスクをかなり抑えられると思います。 そのうえで、リスクができるだけ少なく、かつ効果がしっかり出るものから順番に試していくことが必要です。
また、医師に睡眠薬について相談するときに 「この睡眠薬はどれくらいで辞められますか」 という質問はとてもいいと思います。不眠症についてはもちろん純粋な睡眠障害だけのこともありますが、背景となるうつ病、適応障害、発達障害などあらゆる病気が原因で併発することが多いです。なので基本的には「いつまで飲むか」について即答することは難しいと思いますが、患者さんは「睡眠薬をずっとのみたくはない、依存したくはない」という姿勢をみせることで、医師もだらだら処方することは辞めようと意識するので、有効的です。
もちろん医者がしっかりやれよ、っていうのが本音ですが、昔は漫然と睡眠薬が処方されていた歴史もあるので、世代間の意識の違いはどうしてもありますね。
飲んだ後の行動
次に、「睡眠薬を飲んで眠くなるのを待つのはやめましょう」ということです。
睡眠薬というと、眠気が襲ってきて、ベッドに入る、というイメージですが、これにはリスクがあります。 睡眠薬の中でもマイスリーやサイレースなど、睡眠導入効果が高いものは、飲んだ後ぼーっとしてしまうものも多いです。 眠気が来るのをまってスマホをいじったりテレビを見ていたりすると、半分夢をみているような状態で起きているので、気づいたら必要ないものをネットで買ってしまったり、覚えていないラインを人に送ってしまったりして、生活に支障をきたします。
睡眠薬をのんだら、すぐにベッドに入り、寝付くのをまつというのが正しい使い方になります。 もちろん、何も治療をしてなければ眠気がくるまで起きていたほうがいい、という生活指導もあるのですが、薬を飲んでいる場合はやはりすぐに寝る準備をしましょう。
罪悪感を持たない
最後に「飲んでいることに罪悪感を持たない」ということです。
精神科全般にいえることですが、「薬を飲んでいるなんてダメな人間だ」みたいに思ってしまうと、すべてが悪循環になってしまうんですね。 なので、一定期間は治療に専念するぞ、と割り切って内服することは大事です。
また、あまり飲みたくないからということで自己調整してしまう方もいます。今日は寝れそうだから飲まない、眠れなさそうだから2倍の量を飲むとかですね。 もちろん主治医と自己調整してOKというルールが決まっていたら問題ないんですが、間違った飲み方をするとより依存が強まったり、副作用が出てしまったりしますので、基本的にはすべて医師に確認をしてください。
医師は正しい用法用量で患者さんが内服している、という前提で処方調整をしているので、自己流で調整しないよう注意してくださいね。
これらの内容は当院のYoutubeをまとめたものになります。
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【院長 副島正紀】 精神科専門医 精神科指導医 精神保健指定医 認知症診療医 –X