2024年10月15日
今回は大人の発達障害のセルフチェックについてお話します。 近年は大人の発達障害という言葉もあり、みなさんも一度は耳にしたことがあるんではないでしょうか。 発達障害は主に幼少時から「変わった子」と言われたり、周囲の子供と比べて独特なこだわりや振る舞いをしていた方が多いです。症状の重さは人それぞれであり、単に個性的な方で問題なく暮らしている方もいますし、周囲と上手くいかず悩んでしまう方もいます。 精神科のクリニックでは、何らかの社会生活での失敗を通じ、「もしかして自分は発達障害じゃないか」と心配され受診される方が多いです。
発達障害自体は、自閉症、アスペルガー障害、ADHD、学習障害と分類はいくつかありますが、 特に大人の発達障害で多くみられる、ADHD、アスペルガー障害について9個のセルフチェックをまとめましたので、 自分は当てはまるかな、など確認しながら是非最後まで観てください。
1. 集中力の持続が難しい
一つ目は、「集中力の持続が難しい」です。 読書や仕事中にすぐに気が散ってしまうことはりませんか? 集中しようと思っても、別なことをすぐに考えてしまったりとか、ちがうことを初めてしまったりするのは注意転導性の亢進といいます。 例えば他人と会話していても、「相手のスーツかっこいいな」→「スーツといえば最近デパートに行ってないな」→「デパ地下のあのお惣菜なんて名前だっけ」、というように連想ゲームのように頭の中で関心が移り替わってしまいます。このような注意が難しい状況や、空想癖のようなものはADHDによくみられます。
2.計画や時間管理が苦手
次に、「計画や時間管理が苦手」です。締め切りを守るのが難しかったり、物事を計画的に進めるのが苦手ではありませんか? 勉強でも、仕事でも、何か目指すべきゴールがあれば、達成するために必要なステップを想定し、予定通りにこなしていかないといけません。これを「物事を計画通りに進める」ということだと思います。ADHDだと先ほどの注意力低下もあいまって、計画通りに進めることが苦手です。決められたことをこなそうとしても、別のことが気になってしまったり、本来あとに考えるべき内容の作業に手をつけはじめてしまったりするなど、当初の予定が崩れることが多いです。
また、計画の一つとして、時間をまもってこなすということも大事です。ADHDだと、時間の計画性も苦手なため、遅刻癖が多い傾向にあります。家を出るまでに「ごはんどうしよう」「昨日のドラマどうだったかな」とかいろいろなことに気が散ったりしてしまうため、最終的に家を出るのが遅れてしまったりするんですね。
3.社会的な状況での苦手意識
次は、「社会的な状況での苦手意識」です。 会話のタイミングが分かりにくい、または他人の感情を理解するのが難しいと感じたりはしませんか? 1対1の親友とのコミュニケーションはそれほどでも、大人数の盛り上がっている輪にははいれないという方もいると思います。 「何が面白くて盛り上がっているか分からない」ということもあれば、「会話の展開に理解がついていかない」というケースもあると思います。
また大人になると、言葉の表面的な意味と、裏の意図がずれていることもありますよね。仕事で残業が続いているときに、早く終わった同僚がいたとして、「頑張ってるね」と言われたとします。これが「頑張っててえらいね、頑張れ」という応援なのか、「まだ仕事終わらないの、おつかれ」みたいに皮肉的に言われることもあります。このような裏に隠れた感情表現を読み取りづらいということもあると思います。これらは自閉症の方に多い傾向となります。
4.忘れ物が多い
次は、「忘れ物が多い」です。 鍵や携帯電話など、日常的な物をしょっちゅう無くしてしまいませんか?これは気が散りやすいことにもよるんですが、朝家をでるときに財布やスマホを持っていくと思うんですけど、あたまで「財布をもってでよう」と考えたときに「今日は午前中はなんの会議だっけ」とか違うことに気がそれてしまい、「財布をもって出よう」という考えが飛んで行ったりしてしまうんですね。前に述べた注意散漫さによる影響によって、忘れ物が多くなってしまうことが多いです。財布を年に一回なくしてしまう方は注意です。
5.物事を始めるのに時間がかかる
次は、「物事を始めるのに時間がかかる」です。 必要なことややるべきことを先延ばしにしがちでしょうか?ADHDだと、脳のやる気にかかわるドーパミンという神経伝達物質が低いと言われています。 このやる気が出ない状況だと、やるべきことにすぐ取り掛かれないということがあげられます。また、前頭前野という脳の部位は衝動を制御したりすることにかかわっているんですが、ここの働きが弱いとも言われており、やらなくてはいけないことよりも、興味がうつったものにとびついてしまうので、結果的に物事を始めるのに時間がかかると考えられています。
6.興味のない話題に関心を持てない
次は、「興味のない話題に関心を持てない」です。 他人の話や会話に集中できず、自分の興味のあることにしか関心が持てないことが多くないでしょうか? 好きな科目と苦手な科目がはっきりしていたり、一人でずっとはまっている趣味がある方などは、あてはまります。 休日は友達に合わせていきたいとことに行くのがつらく感じたり、気づいたら一人行動をずっと続けているような場合は、 この傾向が強いかもしれません。
7. 感覚過敏や感覚鈍麻がある
次は、「感覚過敏や感覚鈍麻がある」です。 特定の音、光、食感などに対して過敏に反応したり、逆に鈍感だと感じることはありますか? 辛い物が人よりも強く、周りがびっくりすような量の香辛料を使ったり、逆に敏感すぎて苦手なものが多く偏食だったりします。 ライブハウスのような音が大きいところが必要以上に苦手だったり、暗い場所から明るい場所など光の刺激の変化にも苦手だったり、 あらゆる感覚への過敏さがみられます。また、幼少期に水道から流れる水の感触が好きでずっと触っていたり、砂場の砂の感覚が好きでずっと砂いじりしていたりなど、感覚への独特な好みもあらわれたりします。
8. 一度に複数の指示に従うのが難しい
次は、「一度に複数の指示に従うのが難しい」です。 マルチタスクは苦手ですか?よく仕事だとAという仕事とBという仕事を同時に行わないといけないことがあると思います。 AをやっているとBをわすれてしまったりするなど、マルチタスクが苦手なかたがいると思います。 マルチタスクに必要な能力はワーキングメモリや、作動記憶といわれており、ADHDではこの能力が低いと言われています。 仕事が積み上げられるとパニックになってしまう、という方は当てはまるかもしれません。
9. 日常の変化に対する抵抗感
最後は、「日常の変化に対する抵抗感がある」です。 予定外の出来事や日常のルーチンが崩れると、強いストレスを感じますか? 自閉症傾向の方は、お休みの日は決まった時間に決まったことをするのが好きで、それほど変化がないことを楽しむ方は当てはまると思います。 明日はどこどこに行こう、と思っている中で、「明日遊ばない?」と急にお誘いを受けたりすることに、面倒だな、とか思いがちな傾向があります。 また自分内のルールがあり、その調子を乱されると嫌だなとおもう傾向があります。 よく子供のころ、横断歩道は白線しかあるいちゃいけない、とか自分ルールを話してくれた患者さんもいました。 もし自分ルールが強いなと思った人は、チェックになります。
まとめ
以上9つのセルフチェックを作ってみました。もちろんこれは発達障害の傾向を示しただけですので、すぐさま診断確定とはなりません。 実際の診察では、一つ一つの症状や特徴などについて、子供のころの話とか、健康診断ではどうだったか、など細かくうかがっていきます。 大人の発達障害は社会生活でトラブルになって心配される方が多いので、もし日常的にお困りでしたら一度精神科にご相談下さい。
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【院長 副島正紀】 精神科専門医 精神科指導医 精神保健指定医 認知症診療医 –X