物忘れが増えたのはうつ病?年齢別に見る原因と受診の目安|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

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物忘れが増えたのはうつ病?年齢別に見る原因と受診の目安

物忘れが増えたのはうつ病?年齢別に見る原因と受診の目安|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

2026年1月09日

物忘れが増えたのはうつ病?年齢別に見る原因と受診の目安

物忘れが増えた…それは本当に認知症?

「あれ、何だっけ?」

最近、こんな瞬間が増えていませんか?鍵を置いた場所が思い出せない、人の名前がすぐに出てこない、予定をうっかり忘れてしまう・・・こうした「物忘れ」に不安を感じている方は少なくありません。特に「もしかして認知症では?」という心配が頭をよぎることもあるでしょう。

実は、物忘れの原因は認知症だけではありません。うつ病ストレス睡眠不足、さらには薬の副作用など、さまざまな要因が記憶力に影響を及ぼします。そして、その原因は年齢によっても大きく異なるのです。

この記事では、精神科専門医の視点から、物忘れの原因を年齢別に詳しく解説します。「加齢による正常な物忘れ」と「注意が必要な物忘れ」の違い、うつ病と認知症の見分け方、そして受診すべきタイミングまで、あなたの不安を解消するための情報をお届けします。

「忘れ方」で見分ける〜正常な物忘れと病的な物忘れ

物忘れが気になるとき、最も重要なのは「何を、どのように忘れたのか」という点です。

加齢による正常な物忘れは、体験の一部を忘れることが特徴です。たとえば、「昨日の夕食で何を食べたか思い出せない」という状態です。食事をしたこと自体は覚えているけれど、献立の詳細が曖昧になっているのです。ヒントがあれば思い出せることも多く、「そうそう、焼き魚だった!」と記憶が蘇ります。

一方、認知症による物忘れは、体験そのものを忘れてしまいます。「朝食を食べたこと自体」を覚えていない、「まだ食べていない」と主張する・・・こうした状態は、記憶を新しく覚える機能そのものが低下している可能性を示しています。

物忘れの自覚があるかどうか

もう一つの重要なポイントは、本人が物忘れを自覚しているかです。

加齢による物忘れでは、「最近忘れっぽくて困る」「あれ、何だっけ」と本人が気に病むことが多いです。この「自覚」があることは、実は正常な老化の証拠とも言えます。

対照的に、認知症では物忘れの自覚が乏しくなります。家族に指摘されても「そんなことはない」「嘘をついている」と怒り出すこともあります。この病識の欠如は、認知症の重要な特徴の一つです。

日常生活への影響の程度

日常生活にどれだけ支障が出ているかも、判断の大きな基準になります。

正常な物忘れでは、探し物が増えたり約束をうっかり忘れたりすることはあっても、メモを取る、スケジュール帳を活用するなど、自分で工夫しながら普段通りの生活を送れます。判断力や理解力は保たれており、新しい状況への対応も可能です。

しかし、認知症による物忘れでは、お金の管理ができなくなる、料理の手順がわからなくなる、道に迷うなど、日常生活に明らかな支障が出始めます。同じことを何度も聞く、時間や場所がわからなくなるといった症状も見られます。

年齢別に見る物忘れの主な原因

物忘れの原因は、年齢によって大きく異なります。それぞれの年代で起こりやすい要因を理解することで、適切な対策が見えてきます。

20代・30代の物忘れ〜生活習慣とストレスが鍵

「まだ若いのに物忘れが多い」と悩む20代・30代の方は少なくありません。

この年代の物忘れは、加齢によるものではなく、生活習慣や環境が主な原因です。仕事のストレス、睡眠不足、栄養の偏り、スマートフォンやパソコンの使いすぎによる「脳疲労」・・・これらが記憶力や集中力の低下を引き起こします。

特に注目すべきは、うつ病不安障害といった精神的な要因です。気分の落ち込み、やる気の低下、不眠などと一緒に物忘れが増えている場合は、心の健康状態をチェックする必要があります。

また、情報過多の現代社会では、脳が常に刺激を受け続けることで「デジタル認知症」とも呼ばれる状態になることがあります。スマートフォンに頼りすぎて、自分で記憶する機会が減っていることも一因です。

40代・50代の物忘れ〜更年期とストレスの影響

40代・50代になると、仕事や家庭での責任が増え、ストレスも蓄積しやすくなります。

この年代では、更年期による影響も無視できません。特に女性では、ホルモンバランスの変化が記憶力や集中力に影響を及ぼすことがあります。イライラ、不安、不眠といった症状と一緒に物忘れが増えるケースも見られます。

また、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)が始まる時期でもあります。これらの疾患は脳の血流に影響を与え、認知機能の低下につながる可能性があります。

さらに、この年代では老年期うつ病の初期症状として物忘れが現れることもあります。やる気の低下、喜びの喪失、原因不明の体の不調などが伴う場合は、専門医への相談が推奨されます。

60代以降の物忘れ〜認知症との見極めが重要

60代以降になると、「これは加齢のせいか、それとも認知症の始まりか」という不安が大きくなります。

この年代では、正常な加齢による記憶力の低下と、軽度認知障害(MCI)や認知症との境界線が曖昧になることがあります。軽度認知障害は、年齢に伴う正常な物忘れと認知症の中間に位置する状態で、日常生活には大きな支障はないものの、記憶力や認知機能に一部の低下が見られます。

また、脳血管性認知症のリスクも高まります。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因となり、突然物忘れがひどくなることがあります。長く生活習慣病を患っている方は特に注意が必要です。

さらに、慢性硬膜下血腫正常圧水頭症といった、治療可能な疾患による物忘れもあります。これらは早期発見が重要で、適切な治療により症状が改善する可能性があります。

うつ病による物忘れと認知症の違い

「物忘れが増えた」という症状は、うつ病でも認知症でも現れます。

しかし、その性質は大きく異なります。医学的には、うつ病による物忘れを「仮性認知症」と呼ぶこともあり、認知症と区別がつきにくいケースがあります。

うつ病による物忘れの特徴

うつ病では、気分の落ち込みややる気の低下といった症状がよく知られていますが、実際には記憶力や集中力にも影響することがわかっています。

うつ病による物忘れの最大の特徴は、忘れてしまったことを本人が強く自覚している点です。「また忘れた」と落ち込み、不安が大きくなります。これは、集中できないことが原因で「覚えられない」ことが多いためです。

また、気分の落ち込み、不眠、食欲低下などの症状が一緒にみられることも特徴です。そして何より重要なのは、適切な治療を受ければ改善することが多いという点です。

認知症による物忘れの特徴

認知症は脳の神経細胞の障害によって起こるため、性質が異なります。

最も大きな違いは、物忘れに本人の自覚が乏しいことです。「ご飯を食べたこと」など直前の出来事を忘れてしまい、時間や場所、人の名前がわからなくなることがあります。お金の管理や料理、買い物など日常生活に支障が出始め、少しずつ進行していきます。

アルツハイマー型認知症では、「エピソード記憶(出来事の記憶)」の障害が特徴的に見られると報告されています。

見分けるための重要なポイント

うつ病と認知症を見分けるには、以下のポイントに注目します。

  • 自覚の有無・・・うつ病では忘れたことを本人が強く意識して落ち込みますが、認知症では本人はあまり気づきません。
  • 原因・・・うつ病は集中力・注意力の低下が原因ですが、認知症は記憶をつかさどる脳細胞の障害が原因です。
  • 経過・・・うつ病は適切な治療で改善することが多いですが、認知症は徐々に進行します。
  • 併発症状・・・うつ病では気分の落ち込み、不眠、食欲不振などが見られ、認知症では日常生活に支障が出ます。

医療機関では、問診だけでなく、MMSE(認知機能検査)やMoCA(軽度認知機能低下の検出に有効)、PHQ-9やHAM-D(うつ症状の重症度を評価)などの検査を組み合わせて総合的に判断します。

薬の副作用による物忘れにも注意

意外と見落とされがちなのが、薬剤性の認知機能障害です。

年齢を重ねて物忘れが増えると、原因を調べる機会のないまま認知症と決めつけられてしまうことがあります。しかし、その原因が薬だった場合、それは改善する可能性のある認知機能障害です。

認知機能に影響を及ぼす薬

認知機能に影響を及ぼす薬は、それほど特殊なものではありません。

ドラッグストアでも入手できる風邪薬花粉症の薬胃酸分泌を抑える薬咳止めの薬睡眠改善薬などが挙げられます。最近では、長らく熱心にセルフメディケーションをされていた方が、風邪薬と咳止めの薬の影響で物忘れや行動の変化に気づかれて来院されるケースもあります。

医師が処方する薬にも、認知機能に影響を及ぼすものがあります。抗コリン薬抗精神病薬抗うつ薬睡眠薬抗不安薬抗てんかん薬抗パーキンソン薬ヒスタミンH2受容体拮抗薬ステロイド非ステロイド性抗炎症薬循環器系治療薬抗菌薬の中には、認知機能に影響を及ぼす薬があります。

特に注意が必要な薬

高齢者に処方される頻度が高い抗コリン薬は特に注意が必要です。

診療で最近よく見かけるものとしては、過活動膀胱の治療薬があります。他にも様々な薬に抗コリン作用があります。

痛みに対する薬の中にも、認知機能に影響を及ぼすものがあります。プレガバリン、トラマドール、デュロキセチンなどは痛みに対してよく使用されていますが、これらは総じて認知機能に影響を及ぼす可能性があります。認知機能の改善を優先してこれらの薬を減量や中止しても、痛みが強まることはなく、物忘れがよくなることを多く経験します。

また、脳梗塞後に長期間抗てんかん薬(特にバルビツール酸系)を服用している方が、比較的重い認知機能障害を引き起こすこともあります。適切な判断に必要な前頭葉機能の低下も生じることがあります。

薬の影響が疑われる場合の対処法

物忘れや行動、心の変化が生じた時には、薬の減量や中止について積極的に検討することが求められます。

ただし、一点だけ注意が必要です。それは、急な減量や中止は、薬によっては避ける必要があるということです。薬の影響について心配になるあまり、ご自身の判断で薬の減量や中止をすることは避けましょう。

認知症かもしれないと考えた時には、お薬手帳を持参して薬剤師さんや主治医の先生と相談すると良いでしょう。

受診すべきタイミングと診療科の選び方

では、どのような時に医療機関を受診すべきなのでしょうか?

受診を検討すべきサイン

以下のような症状が見られる場合は、専門医への相談を検討しましょう。

  • 物忘れの程度がひどい・・・日常生活に支障が出始めている。
  • 急激に物忘れが進む・・・1〜2ヶ月以内に明らかな変化がある。
  • 他の症状が伴っている・・・歩きにくい、尿失禁、幻覚・妄想、夜間徘徊、意欲低下などがある。
  • 気分の落ち込みと一緒に起こる・・・不眠、食欲不振、やる気の低下などが見られる。
  • 頭をぶつけた後・・・1〜2ヶ月以内に頭部外傷の心当たりがあり、その後物忘れが増えた。

どの診療科を受診すべきか

物忘れの原因によって、適切な診療科が異なります。

  • 気分の落ち込み・意欲低下・不眠と物忘れが一緒にある場合・・・心療内科・精神科へ。うつ病や不安障害の可能性があります。
  • 日常生活に支障が出る物忘れが続いている場合・・・脳神経外科・神経内科・もの忘れ外来へ。認知症や脳の器質的疾患の可能性があります。
  • どの科に行けばいいかわからない場合・・・かかりつけ医に相談。適切な診療科を紹介してもらえます。

最近では「もの忘れ外来」や「認知症外来」などの専門外来を設置している病院も増えています。かかりたい病院がある場合には、何科にかかるのがよいか事前に問い合わせておくとスムーズです。

受診時のポイント

受診時には、以下の点に注意すると診断がスムーズになります。

  • お薬手帳を持参する・・・現在服用している薬が物忘れの原因になっていないか確認できます。
  • 家族や身近な人と一緒に受診する・・・普段の様子をよく知っている人が一緒にいることで、本人が気づいていない変化を医師に伝えられます。
  • 症状の経過をメモしておく・・・いつ頃から、どのような物忘れが、どれくらいの頻度で起こっているかを整理しておきます。
  • 生活環境の変化を伝える・・・引っ越し、退職、家族の死など、大きな環境変化があった場合は医師に伝えます。

日常生活でできる物忘れ対策

医療機関での診断・治療と並行して、日常生活でできる対策も重要です。

生活習慣の改善

  • 十分な睡眠・・・質の良い睡眠を確保することで、脳の回復と再生が促進され、記憶力の維持に役立ちます。
  • バランスの取れた食事・・・野菜、果物、魚、ナッツ類など、抗酸化物質やオメガ3脂肪酸を豊富に含む食品を摂取することで、脳の健康を保ちます。
  • 定期的な運動・・・有酸素運動や筋力トレーニングを定期的に行うことで、脳の血流が改善され、認知機能が向上します。
  • ストレス管理・・・ストレスを適切に管理することで、精神的な健康を保ち、認知機能の維持に役立ちます。

脳を活性化する活動

  • 社会的活動・・・人との交流や趣味活動を積極的に行うことで、精神的な刺激を受け、認知機能の低下を防ぎます。
  • 新しいことへの挑戦・・・新しい趣味や学習に取り組むことで、脳に適度な刺激を与えます。
  • 読書や計算・・・日常的に頭を使う習慣をつけることが大切です。

記憶を補助する工夫

  • メモやスケジュール帳の活用・・・忘れそうなことはすぐにメモする習慣をつけます。
  • 物の定位置を決める・・・鍵や財布など、よく使うものは置き場所を固定します。
  • スマートフォンのリマインダー機能・・・予定や服薬のタイミングなどをアラームで知らせる設定にします。

まとめ〜物忘れは早めの相談が大切

物忘れが増えたと感じたとき、「年のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。

物忘れの原因は、加齢による正常な変化、うつ病やストレス、薬の副作用、認知症など、さまざまです。そして、その多くは適切な対処によって改善したり、進行を遅らせたりすることができます。

特に重要なのは、「忘れ方」に注目することです。体験の一部を忘れるのか、体験そのものを忘れるのか。本人が物忘れを自覚しているか、していないか。日常生活に支障が出ているか、いないか。これらのポイントを観察することで、物忘れの性質が見えてきます。

また、うつ病による物忘れは治療可能であり、薬剤性の認知機能障害も薬の調整で改善する可能性があります。「もしかして認知症かも」と不安になる前に、まずは専門医に相談することが大切です。

シモキタよあけ心療内科では、精神科専門医が物忘れの原因を丁寧に診断し、一人ひとりに合わせた治療プランをご提案しています。うつ病、不安障害、適応障害など、心の健康に関するお悩みにも幅広く対応しています。下北沢駅から徒歩1分という好アクセスで、完全予約制のため待ち時間も少なく、お忙しい方でも受診しやすい環境を整えています。

物忘れが気になる方、気分の落ち込みや不眠などの症状がある方は、どうぞ一人で悩まず、お気軽にご相談ください。診断書の当日作成や、復職支援サービスも提供しています。

詳細はこちら:シモキタよあけ心療内科

著者プロフィール 

シモキタよあけ心療内科 院長 副島正紀」

〜こころに、よあけを〜

【資格・所属学会】

認知症診療医

日本精神神経学会 精神科専門医

日本精神神経学会 精神科指導医

精神保健指定医

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