2025年12月04日

うつ病の診断書はどんな内容?提出までの流れとよくある疑問を解説
うつ病の診断書とは?その役割と重要性
うつ病の診断書は、医師が患者さんの症状を診察した結果を記載した公的な書類です。
この書類には、病名や治療内容、療養が必要な期間などが明記されており、休職や復職、さらには各種支援制度を利用する際に欠かせないものとなっています。診断書は単なる証明書ではなく、患者さんの健康状態を医学的見地から証明し、適切な療養環境を整えるための重要な役割を果たします。

精神科専門医として多くの患者さんと向き合ってきた経験から申し上げると、診断書の発行は治療の重要な一歩です。患者さんの中には「診断書をもらうことに抵抗がある」という方もいらっしゃいますが、適切な休養と治療を受けるためには必要不可欠なものなのです。
診断書に記載される具体的な内容
うつ病の診断書には、いくつかの重要な項目が記載されます。
基本情報と病名の記載
診断書の冒頭には、患者さんの氏名・性別・生年月日などの基本情報が記載されます。そして最も重要なのが「病名」の記載です。うつ病と診断された場合は「うつ病」と明記されますが、症状や経過によっては「うつ状態」「適応障害」として記載されることもあります。
病名は診察時の症状や経過を総合的に判断して決定されます。治療の進行に伴い、病名が変更されるケースも珍しくありません。
治療内容と経過の説明
診断書には、現在受けている治療の内容が具体的に記載されます。
投薬治療を行っている場合はその旨が、カウンセリングを併用している場合はその情報も含まれます。また、いつから通院を開始したのか、症状の経過はどうであるかといった情報も重要な記載事項となります。これらの情報は、会社や学校が患者さんの状況を正しく理解し、適切な配慮を行うために必要なものです。
療養期間と就労可否の判断
診断書で特に重要なのが、療養が必要な期間の記載です。
「〇月〇日から〇月〇日まで〇日間の休養が必要である」という形で、具体的な期間が明示されます。この期間は、患者さんの症状の重さや回復の見込みを医学的に判断して決定されます。また、業務への支障の程度や就労の可否についても記載され、「配置転換を要する」「残業は不可」といった具体的な配慮事項が示されることもあります。

診断書発行までの具体的な流れ
診断書を取得するには、いくつかのステップを踏む必要があります。
初診から診断書発行まで
まずは精神科・心療内科を受診することから始まります。
初診では、医師が患者さんの症状や生活状況、職場環境などを詳しく伺います。診察時間は約30分程度で、症状の程度や経過を総合的に判断します。早急に休養が必要と判断された場合は、初診当日に診断書が発行されることもありますが、症状が曖昧で一度の診察では判断できない場合は、経過を観察してから発行となります。
シモキタよあけ心療内科では、診断書は当日作成が可能です。患者さんの状況を迅速に把握し、必要な支援を速やかに提供することを心がけています。
診断書発行にかかる期間と費用
診断書の発行期間は医療機関によって異なります。
即日発行に対応しているクリニックもあれば、1週間から1ヶ月程度かかる場合もあります。急ぎで診断書が必要な場合は、事前に医療機関に確認することをお勧めします。費用については、診断書の発行は保険適用外となるため全額自己負担です。一般的な相場は2,000円から10,000円程度で、記載内容の複雑さや地域によって金額に幅があります。
診断書作成時の注意点
診断書を依頼する際は、利用目的と提出先を明確に伝えましょう。
「休職制度を利用するため会社に提出します」というように、具体的な用途を説明することで、医師は適切な内容を記載できます。また、会社や学校によっては指定の書式がある場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。診断書を受け取ったら、病名や療養期間に誤りがないか必ず確認し、控えを取っておくことをお勧めします。

診断書を使った休職手続きの進め方
診断書を取得したら、次は休職手続きを進めます。
会社への診断書提出と休職申請
診断書を受け取ったら、速やかに上司や人事担当者に提出しましょう。
提出時には、休職に必要な手続きや復職までの流れについて確認することが重要です。特に確認すべき項目として、傷病手当金などの経済的保障の申請方法、会社が提供する職場復帰支援サービスの有無、休職から復職までの最長期間、会社と主治医との情報共有の方法などがあります。これらの情報を事前に把握しておくことで、安心して療養に専念できます。
休職中の経済的支援制度
休職中の生活を支える制度として、傷病手当金があります。
これは健康保険から支給される手当で、給与の約3分の2が最長1年6ヶ月間支給されます。また、自立支援医療制度を利用すれば、医療費の自己負担額が3割から1割に軽減されます。さらに、精神障害者保健福祉手帳を取得することで、税金や公共料金の割引などの支援を受けることも可能です。これらの制度を活用することで、経済的な不安を軽減しながら治療に専念できます。
復職に向けた準備と診断書
心身の状態が安定し、医師が復職可能と判断したら、復職診断書を発行してもらいます。
復職診断書には、現在の健康状態や復職後の勤務形態についての医師の見解が記載されます。復職前には、上司や人事担当者、産業医などと話し合い、復職の段取りや勤務形態について調整します。試し出勤制度やリワークプログラムなどの復職支援制度を利用できれば、職場復帰に対する不安を軽減できるでしょう。
診断書に関するよくある疑問
診断書について、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
初診でも診断書はもらえるのか?
症状が重く早急に休養が必要と判断された場合は、初診でも診断書を発行できます。
ただし、医療機関や医師の方針によっては、初診での診断書発行ができない場合もあります。また、一度の診察で精神疾患の断定ができない場合や、休職の必要性を判断できない場合も、診断書の発行が見送られることがあります。症状がひどく、すぐにでも休養が必要な状態であれば、その旨を医師に明確に伝えることが大切です。
診断書をもらえないケースとは?
診断書が発行されないケースとして、いくつかのパターンがあります。
症状が軽く、休職が必要なほどの状態ではないと判断された場合、一度の診察ではうつ病と断定できず、経過観察が必要な場合、そして患者さんの訴える症状と実際の状態に大きな乖離がある場合などです。医師は専門的な見地から総合的に判断するため、患者さんの希望通りに診断書が発行されるとは限りません。しかし、本当に辛い状態であれば、その症状を正直に医師に伝えることが重要です。

診断書の内容は会社に全て伝わるのか?
診断書に記載された内容は、提出先である会社や学校に伝わります。
ただし、診断書には必要最小限の情報のみが記載され、プライバシーに配慮した内容となっています。病名、治療期間、就労可否などの基本的な情報は記載されますが、詳細な症状や個人的な背景については、必要がない限り記載されません。また、会社には安全配慮義務があるため、診断書の内容に基づいて適切な配慮を行う責任があります。
診断書の有効期限はあるのか?
診断書自体に法的な有効期限はありませんが、記載された療養期間には期限があります。
例えば「1ヶ月間の休養が必要」と記載された診断書の場合、その期間が経過した後も休養が必要であれば、新たな診断書を発行してもらう必要があります。症状の改善が見られない場合や、さらなる療養が必要と判断された場合は、診断書の期間延長が可能です。定期的に医師の診察を受け、現在の状態を正確に伝えることが大切です。
シモキタよあけ心療内科での診断書発行について
当院では、患者さんの状況に応じた迅速な診断書発行を心がけています。
精神科専門医による質の高い診療を提供し、診断書は当日作成が可能です。下北沢駅から徒歩1分という好アクセスで、完全予約制のためウェブやアプリから24時間予約できます。休職・復職のサポートも充実しており、診断書や傷病手当等の書類作成はもちろん、復職に向けた療養アドバイスも提供しています。
うつ病をはじめ、不眠症、適応障害、パニック障害、不安障害など、幅広い精神科疾患に対応しています。
カウンセリングは公認心理士、臨床心理士の資格を持った専門スタッフが担当し、薬物療法だけに頼らない治療を行っています。また、キャッシュレス決済に対応しており、事前にクレジットカードをアプリに登録すればお会計を待たずにお帰りになれます。生活保護指定医療機関でもあるため、経済的な不安がある方も安心して受診いただけます。
まとめ:診断書は適切な治療への第一歩
うつ病の診断書は、単なる書類ではなく、適切な治療と療養を受けるための重要なツールです。
診断書には病名、治療内容、療養期間などが記載され、休職や各種支援制度の利用に欠かせません。発行までの流れは、まず精神科・心療内科を受診し、医師の診察を受けることから始まります。症状が重く早急に休養が必要な場合は初診でも発行可能ですが、経過観察が必要な場合もあります。
診断書を取得したら、会社や学校に提出し、休職手続きを進めます。休職中は傷病手当金や自立支援医療制度などの経済的支援を活用しながら、しっかりと療養に専念しましょう。そして心身の状態が安定したら、復職診断書を発行してもらい、段階的に職場復帰を目指します。
診断書に関する疑問や不安があれば、遠慮なく医師に相談してください。
私たち医療従事者は、患者さん一人ひとりの状況に寄り添い、最適な治療とサポートを提供することを使命としています。心の健康を取り戻すための第一歩として、まずは専門医の診察を受けることをお勧めします。
うつ病の診断書や治療について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひ当院にご相談ください。精神科専門医が丁寧に診察し、一人ひとりに合わせた治療プランをご提案いたします。詳細はこちら:シモキタよあけ心療内科
著者プロフィール
「シモキタよあけ心療内科 院長 副島正紀」

〜こころに、よあけを〜
【資格・所属学会】
認知症診療医
日本精神神経学会 精神科専門医
日本精神神経学会 精神科指導医
精神保健指定医