躁うつ病の主な症状

躁うつ病（双極性障害）は、極端な気分の変動を特徴とする精神疾患です。主に「躁状態」と「うつ状態」が交互に現れます。

躁状態

異常に気分が⾼揚し、エネルギーが増加し、過剰な自信に満ちあふれる状態です。

• 過度の⾃信、⾃分を⼤きく⾒せる発⾔（誇⼤妄想）
• 不眠
• 多弁、さえぎられるとイライラする
• 考えが次々と浮かんで⽌まらない（観念奔逸）
• 衝動的な⾏動（浪費、過剰な性的活動、危険な運転、派⼿な服装）

うつ状態

極度の気分の落ち込みと無気⼒が特徴です。具体的な症状には以下が含まれます。

• 持続的な悲しみや絶望感
• 興味や喜びの喪失
• 疲労感やエネルギーの低下
• 睡眠障害（過眠や不眠）
• ⾷欲の変化（⾷欲低下、または過⾷）
• ⾃殺念慮や⾃傷⾏為

躁うつ病の治療

双極性障害の治療には、薬物療法、精神療法、環境調整など、総合的なアプローチが必要です。

薬物療法

気分安定薬、抗精神病薬を使います。躁うつ病治療において、もっとも必要なものは薬物療法です。

精神療法

認知⾏動療法（CBT）などが有効です。当院では⼼理⼠によるカウンセリングにて⾏いますが、躁状態では⻑時間の⾯接が困難なため、まずは薬物療法により⼼の落ち着きを取り戻すことを優先します。

環境調整

躁状態では興奮が強く、うつ状態では気⼒がなくなってしまうため、仕事や学校に⾏くことが難しくなることも多いです。診察により休職診断書を作成し、治療に専念できる環境を作ることも⾏います。

躁うつ病 薬物療法の具体例

双極性障害の治療に⽤いられる薬物には、気分安定薬、抗精神病薬などがあります。以下に主な薬を紹介します。

気分安定薬

• 炭酸リチウム（リーマス）:躁状態とうつ状態の両⽅に効果があります。定期的な血液検査が必要で、腎機能障害の⽅は内服できません。⼿の震えなどの副作⽤のリスクがあります。
• バルプロ酸ナトリウム（デパケン）:特に躁状態に効果的です。興奮が強い⽅、炭酸リチウムに反応が乏しかった⽅などに使⽤します。肝機能障害、⾼アンモニア血症のリスクがあります。定期的な血液検査が必要です。
• ラモトリギン（ラミクタール）:うつ状態に効果があります。徐々に増量して調整する薬であり、ペースを守らないと⽪膚症状が出る可能性があります。

抗精神病薬

• オランザピン（ジプレキサ）、アリピプラゾール（エビリファイ）:躁状態に使⽤されることが多いです。
• クエチアピンフマル酸塩（ビプレッソ）、ルラシドン塩酸塩（ラツーダ）:うつ状態に使⽤されることが多いです。

躁うつ病に似たような疾患

うつ病

当初はうつ病と診断されても、治療が進む中で躁状態となり、躁うつ病へ診断が変わることがあります。

境界性⼈格障害

感情の不安定さが特徴で、元気な時と落ち込む時の落差が激しいことが似ています。躁うつ病と⽐べ、気分の波の間隔が短いことも特徴です。

注意⽋陥・多動性障害（ADHD）

衝動的な⾏動や注意散漫が⾒られ、双極性障害の躁状態と似ていることがあります。幼少期から症状があれば、ADHDの可能性が⾼く、躁うつ病のような周期的な気分の波はありません。

統合失調症

統合失調症の妄想でも誇⼤妄想（「⾃分は天皇の家柄だ」「神に選ばれた」など）がみられることがあります。なかでも、統合失調感情障害という病気は、躁うつ病のような気分の波も出現します。

まとめ

• 躁うつ病はうつ状態と躁状態が数週間〜数か⽉かけて繰り返す病気です。
• 薬物療法がもっとも必要な治療です。
• ADHD、⼈格障害、うつ病など似たような病気があり、鑑別が必要です。

躁うつ病の中でも、特に躁状態の時は怒りっぽかったり、浪費をしたり、性的に奔放になったりなど、社会的に⼤きなダメージを負ってしまうリスクがあります。しかし⼀⽅で、うまく薬物療法が合えば再発もなく社会⽣活を送られている⽅も多くいます。さらに細かく「1型」「2型」と分類もあり、似た疾患も多くありますので、精神科を専⾨とするクリニックでの治療が必須となります。当院には治療経験が豊富な医師が在籍しておりますので、まずは⼀度ご相談ください。