統合失調症|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科
統合失調症は、10代〜30歳ごろに発症する、考えがまとまらなくなったり、幻覚や妄想などの精神症状を認める病気です。脳内でドーパミンが過剰に分泌されていることが原因ではないかと考えられています。
⾃分では病気を⾃覚することは難しく、ご家族からのすすめで受診されることも多いです。
以下に、統合失調症の主な症状、診断、治療、似たような疾患について説明します。
統合失調症の主な症状
1.陽性症状:本来ないものが現れる症状
- 幻覚:幻聴が多く、他にも幻視、幻嗅などがあります。そこにはいないはずの⼈達の話す声がしたり(会話性幻聴)、⾃分を批判したり命令するような声が聞こえる時があります(批判性幻聴、命令性幻聴)。
- 妄想:被害妄想が主にみられます。「監視されている」「組織ぐるみで狙われている」など、周りの⼈が本⼈から相談されると、「本当にそんなことある?」と⾮現実的な内容が多いです。
- 思考障害:考え⽅がまとまらず、聞いているひとは話の流れが追えなくなります。(連合弛緩)症状が進⾏すると無関係な単語を並べるだけのような状態になることもあります(滅裂思考、⾔葉のサラダ)
- ⾃我障害:⾃分の考えが周りに漏れ出てしまったり(考想伝播)、テレパシーのように受信したりします。だれかに操られているように感じたり(作為体験)、電波攻撃を受けているように感じます(体感幻覚)
2.陰性症状:感情や意欲が低下する症状
- 感情の平坦化:感情の表現が乏しくなります。喜怒哀楽がないように⾒えます(感情鈍⿇)
- 意欲の低下:仕事や勉強、好きだった趣味などへの意欲がなくなります。
- 社会的引きこもり:他⼈との交流を避け、孤⽴することがあります。(⾃閉)
3.認知機能症状
- 記憶⼒、注意⼒の低下:物忘れが⽬⽴ったり、注意散漫になったりします。
- 判断⼒の低下:物事を計画したり、順序⽴てて⾏動することが難しくなります。
統合失調症の治療
統合失調症の治療は、薬物療法が第⼀です。症状が安定次第、⽣活技能訓練(SST)などのリハビリを⾏います。
1.薬物療法
抗精神病薬を中⼼に使⽤します。
抗精神病薬はドーパミンが過剰に分泌されている状態を改善するような薬を指します。以前は⼿の震え、筋⾁の緊張など副作⽤が強い薬(定型抗精神病薬)をつかっていましたが、近年は改良がすすみ⼤分緩和されています。(⾮定型抗精神病薬)
2.⽣活技能訓練(SST)
さまざまな作業や、病気の勉強、コミュニケーションの練習などのリハビリを⾏い、社会復帰を⽀援します。
薬物療法の具体例
抗精神病薬
当院では副作⽤が少ない⾮定型抗精神薬を使⽤します。
- リスペリドン(リスパダール):幻覚や妄想を改善します。頓服としてもよく使⽤されます。
- アリピプラゾール(エビリファイ):副作⽤が少なく、うつ症状や⾃閉症にも使⽤されます。
- オランザピン(ジプレキサ):幻覚や妄想以外にも、意欲低下などの陰性症状や認知機能の改善も期待できます。糖尿病の⽅は使⽤できません。
- ブレクスピプラゾール(レキサルティ):幻覚や妄想にはマイルドに効きますが、抗うつ効果があり、うつ病にも使⽤されることがあります。
他にも、セロクエル、ロナセン、ルーラン、ラツーダ等さまざまな抗精神病薬があり症状に合わせて処⽅します。
統合失調症に似たような疾患
1.躁うつ病
気分の上がり下がりと連動し、幻覚や妄想が現れることがあります。
2.うつ病
「お⾦がない」という貧困妄想や、重症例だと「胃がなくなってしまった」などのコタール妄想が現れることがありますが、統合失調症ほど⼀般的ではありません。
3.妄想性障害
「誰かに狙われている」などの明らかな妄想を認めますが、幻聴や思考障害がないことが特徴です。統合失調症にくらべて珍しい病気です。
まとめ
- 統合失調症は幻覚や妄想、考えがまとまらなくなる病気です。
- 薬物療法により症状が改善します。
- うつ病や躁うつ病などとの鑑別が必要です。
統合失調症は100⼈に1⼈が発症すると⾔われ、とてもメジャーな病気です。症状は多彩で、似た病気も多いため、診断には精神科を専⾨にする医師の診察が必要です。
早めに治療を開始すると予後が良いので、まずはご相談ください。