摂食障害について専門医が説明します。拒食症、過食症の違いや治療法など|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

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摂食障害について専門医が説明します。拒食症、過食症の違いや治療法など

摂食障害について専門医が説明します。拒食症、過食症の違いや治療法など|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

2024年12月09日

摂食障害は、極端な食事制限を行う神経性やせ症、いわゆる拒食症と呼ばれるものや、過食をしてしまう神経性過食症など分類があります。 若い女性の約一割が食行動に問題を持っていると言われており、外来でも非常に多くみられる疾患です。 この動画をみると摂食障害の基本がわかりますので、お悩みの方などぜひ最後までご覧になってください。

主な症状

1.神経性やせ症

まず、神経性やせ症についてです。 神経性やせ症は一日で必要なカロリーに比べて全くたりない量しか摂取せず、低体重になってしまった病気のことです。 ボディーイメージの障害といって、極度にやせていても、体重が増えることへの強い恐怖感を持ってしまったり、増えない様に吐いてしまうような行動や、下剤を乱用してしまうようなこともあります。

学生のころから食べ吐きの習慣があって未治療のまま経過すると、次第に我慢するというステップがなくなり、重症になれば職場でも昼休みに吐いてしまったり、まわりに気づかれないような吐き方になったりするなど、深刻になることがあります。 また体重の側面でリスク判定もします。

やせ具合というのは医療者はBMIで判断します。BMIというのは体重を身長の2乗で割ったものですが、精神科ではBMI15以下が中等度リスクがあるとして判断しています。身長が160cmだとすると、38.4kgです。以前モデル体重がBMI17というのをみたことがあるんですが、160cmだと体重は43.5kgです。なので、この38kgという体重は相当低いということが想像できるのではないでしょうか。 ただもちろん、モデル体重であるBMI17あっても食行動の問題があることがあるので、神経性やせ症は体重だけで判断するわけではありませんのでご注意ください。

神経性やせ症で難しいところは、体の症状にあります。 吐いてしまうことでカリウムなどの電解質が低下したり、脈が遅くなったりQT延長という不整脈が起こるリスクがあります。また肝機能障害、脱毛、女性であれば月経が来なくなってしまったりします。重症例では命にかかわる状況となりうるので、受診したときは  軽症でも悪化しないようきちんと治療を始める必要があります。

2.神経性過食症

次に、神経性過食症の症状についてです。 まず過食症状があります。コンビニで大量の食事を買い、一気に食べるような行動をします。食べ終わると嘔吐したり、下剤を乱用するなどして太らないようにします。人前ではその行動はみせず、隠れて行うことが多いので、周りに打ち明けられず一人悩んでしまうことも多いです。

嘔吐を習慣的に繰り返すことで、顔の唾液腺が腫れたり、手に吐きダコができることがあります。胃酸により歯がダメージを受けたりすることで、虫歯ができやすくなります。過食嘔吐症状が激しい場合、急に症状を止めるのは難しいので、体の負担を減らしていけるように少しずつ、嘔吐の頻度を下げていけるような取り組みをしていくことが望ましいと思います。

これら二つの摂食障害ですが、長期の追跡調査によれば、思春期に入院を要するレベルの神経性やせ症を経験した対象も7~8年後には約8割が体重と月経が回復していることがわかっています。 体型へのこだわりなど心理面も含めた完全な回復にはさらに治療時間を要することもありますが、まず体への影響をできるだけ減らせるように治療は早い方がいいとされています。

治療

次に治療です。摂食障害の治療は、心理療法、薬物療法を組み合わせて行います。

1. 心理療法

摂食障害は本人を取り巻く環境の問題や、人間関係での悩みなどさまざまなケースがあります。これは一人一人それぞれの課題があるので、ストレスの原因となっている状況を共有し、改善できるよう助言を行っていきます。

やせすぎているにも関わらず「過剰に太っている」と思ってしまうなどのボディーイメージの障害がある場合は、カウンセリングも含めた認知行動療法などを用い、食事や体型などに対する偏ったイメージを直します。 また、あまりにも食べ破棄が習慣化されてしまっている場合は、食事の記録などを付け、行動を客観視するような取り組みも行うことも有用です。

2. 薬物療法

神経性過食症の過食嘔吐症状には、抗うつ薬のSSRIが効果があるとされています。

うつ症状がなかったとしてもSSRIを使用することで過食嘔吐が軽減されると考えられており、具体的にはジェイゾロフト、パキシルなどを使用します。抗うつ薬を使用することで一点注意としては、摂食障害の背景にある精神疾患があるかないか調べることが必要です。躁うつ病や、パーソナリティ障害などで安易に抗うつ薬を処方することで病状が悪化してしまったり、過量服薬してしまうリスクなどもあるため注意が必要です。

ボディーイメージについて

最後に、神経性やせ症におけるボディーイメージについて、私の考えをお伝えしたいと思います。 自分が太っていると思うきっかけはさまざまですが、よく経験するのは中学生ぐらいのころ、友人から「太っている」と言われたりして、過剰なダイエットを始めたりすることがきっかけだったりします。

昨今ではSNSで日常的にモデル体型を目にしてしまうし、また自撮りも頻繁にしていると容姿についていやでも悩む機会が多いと思うんですね。 そのような中で自分の常識がどんどん極端な方向に行ってしまい、「やせないと価値がない」とまで追い詰めてしまう方は結構います。 このような考え方の歪みはなかなか同世代に相談することは難しいので、一度医療機関に相談し、自分が無意識で考えている体重への思いを話していただけることが、まず最初の一歩だと思います。

これらの内容は当院のYoutubeをまとめたものになります。

ご興味がございましたら、動画でもご覧ください。

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【院長 副島正紀】 精神科専門医 精神科指導医 精神保健指定医 認知症診療医 –X

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