アルコール依存症|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科
アルコール依存症は、アルコールの摂取を制御できなくなり、身体的、精神的、社会的な問題を引き起こす状態です。
自分の意思のみで断酒を継続することは困難であり、かつ離脱症状等のリスクもあります。精神科では無理なく断酒を目指せるようサポートを行います。
主な症状
以下のような症状が典型的です。
1.アルコール摂取のコントロールの喪失
- アルコールを飲む量や頻度を減らそうとしてもうまく行かず、飲む量を制御できない
2.耐性の増加
- 以前よりも多くのアルコールを摂取しなければ快感を得られなくなる。
3.禁断症状
- アルコール摂取を急にやめると、手の震え、不安、発汗、吐き気、さらに重篤な場合は痙攣や幻覚がみられる。
4.アルコールへの渇望
1.社会機能の低下
1.精神的・身体的な悪影響
- 肝臓疾患、心血管疾患、神経系の問題、精神的な障害(抑うつや不安など)が引き起こされても、飲酒を止めることができない。
治療
アルコール依存症は薬物療法、心理療法、環境のサポートが必要です。たとえスリップ(再飲酒)してしまっても、そのたび振り返りを行い、諦めることなく治療を再開することが必要です。治療は以下のような方法を組み合わせて行います。
1.薬物療法
薬物療法は、アルコールを飲むことが体質的にできなくなる薬(抗酒薬)、飲酒への欲求を軽減させる薬(嫌酒薬)、飲酒量を低減させる薬があります。
アルコール依存症の治療は断酒が望ましいですが、依存が強い場合、まず減酒という選択もあります。
代表的な薬剤には以下のものがあります。
- ノックビン(ジスルフィラム、抗酒薬):アルコールを摂取すると、顔面紅潮、動悸、吐き気、頭痛など二日酔いに似た不快症状を引き起こす薬剤です。これにより、患者はアルコールを避けるようになります。ジスルフィラムは「飲むと悪いことが起きる」と感じさせ、アルコール摂取を防ぐ手助けをします。
- レグテクト(アカンプロサート、嫌酒薬):アルコールを再摂取したいという欲求を減少させる薬です。神経伝達物質のバランスを整えることで、飲酒の衝動を抑えます。
- セリンクロ(ナルメフェン、飲酒量を低減させる薬):飲酒している人が服用することで、飲酒量を低減させる効果があります。アルコール依存症の治療目標は断酒が最も安全な目標ですが、新しい治療ガイドラインでは、軽度の依存症や中間的な目標として減酒の選択もあり得ると言及されています。
2.心理療法
- 心理社会的治療 アルコール依存症の治療では、カウンセリングや心理療法が非常に重要です。認知行動療法(CBT)などを使用して、アルコール摂取を引き起こす思考や行動のパターンを変えることが目指されます。また、断酒会、AA(アルコホーリクス・アノニマス)などの自助会への参加も有効です。
- 支援体制の構築 家族や友人の理解とサポートも大切です。依存症患者が孤立しないよう、周囲のサポートを受けながら回復を目指します。
- 生活習慣の改善 健康的な生活習慣を身につけることが回復を支援します。運動や趣味、規則正しい生活は、アルコールを摂取する習慣を断ち切るために有効です。トリガーとなる飲み会、コンビニ、スーパーなどを避けるような生活ルートなど、個別に話し合い決めていきます。
まとめ
- アルコール依存症は、自分の意思のみでは治療が困難な精神疾患です
- 薬物療法により断酒の継続、節酒が見込めます
- カウンセリングや、断酒会などの集団療法も有用です
アルコール依存症は薬を飲んだらすぐ治るというものではなく、医療機関と協力しながら治療を長期的に続ける必要があります。アルコールを辞めようと思っても失敗してしまい、「自分はどうせだめだ」とやけになってしまったり諦めてしまうことはとても勿体ないです。一人でお悩みを抱えず、まず当院にご相談ください。