躁うつ病の解説。うつ病と誤診することで起こりうるリスクなど。|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

〒155-0031東京都世田谷区北沢2-12-14Medicus KITAZAWA 6階A

03-6450-8682

WEB予約 初診用問診
メインビジュアル

躁うつ病の解説。うつ病と誤診することで起こりうるリスクなど。

躁うつ病の解説。うつ病と誤診することで起こりうるリスクなど。|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科

2024年11月12日

今回は躁うつ病についてお話します。

このコラムを読むと、躁うつ病の症状や治療法が分かりますので、 是非最後まで読んでみてください。

主な症状

躁うつ病は双極性障害とも言われ、うつと躁を周期的に繰り返す、気分の波が主な症状の病気です。 うつ症状の時は気分が落ち込み、家に引きこもったりする一方、躁に入ると会話が止まらなかったりエネルギーが病的にふえてしまい落ち着けなくなってしまうような病気です。

双極性障害には1型と2型があります。

1型というのは躁病の期間、これを躁病エピソードというんですが、この躁病エピソードを生じる病気のことを1型と言います。2型は、1型の躁病よりも軽い、軽躁エピソードを認め、かつうつ病エピソードがあるものを指します。 皆さんが想像しやすいのは1型のほうだと思います。2型はいわゆる単極性うつ病との違いが難しく、なかなか治療に結び付かないこともあります。 1型は基本的には一生にわたり付き合っていく病気ですので、診断がつき次第正しく患者さんに病気の教育をする必要があります。

躁うつ病は10代後半に多く発症します。 うつ状態に初めてなり受診したときは、うつ病との違いはほとんど分かりません。ですので、若い方にうつ病の治療として抗うつ薬をつかってしまうと、逆に躁病に切り替わってしまったりする可能性があります。よく「若い方には抗うつ薬はつかいたくないんだよね」というような精神科の先生のお話をきいたことあるかもしれませんが、若いから副作用が気になる、ということ以外にもこのような躁転リスクがあることも理由なんですね。

躁状態でみられる症状6つ

つぎに、躁状態でみられる症状を6つ紹介します。

1つ目は自尊心の肥大、または誇大妄想です。 必要以上に自分がすごい人間だと思ったり、人によっては「神の生まれ変わりだ」と思うような妄想もみられます。 自信に満ち溢れ、周囲にも隠そうとはしません。周囲に否定されると、怒ったり、時に暴力的な事件になってしまうこともあります。

2つ目は睡眠欲求がさがります。短い間眠っただけで十分休んだな、と感じます。 不眠症のように睡眠時間は少ないですが、気力に満ち溢れ、病的に元気な状態です。

3つ目は、多弁の症状です。 普段よりも言葉数が多く、相手が割り込む隙間をあたえません。本人は切迫感があり焦るような状態であり、つらく感じることがあります。

4つ目は思考の異常です。考えやアイデアが次々にわいてきて、話がまとまりなくなり、はたから見たら流れを追えないような状態です。精神科の用語では観念奔逸といいます。

5つ目は注意散漫です。集中して一つのことに取り組むことができず、視界に入った何かに注意がそれたり、自分でもコントロールできない注意障害がみられます。

6つ目は活動性の亢進です。やる気に満ち溢れ、仕事やプライベートなことでも手当たり次第に計画し行動し始めます。ですが、計画性の問題や、先ほどの注意障害や思考障害などの問題によって、巻き込むだけ巻き込みトラブルになることがあります。よく聞くトラブルとしては性的な活動も亢進するので、毎日飲み歩いたり男女関係をもったりしてしまい、うつ状態に移った後で後悔したり悩むことがあります。躁のときに仕事を沢山入れて、うつのときにこなせず社会的信用をうしなうなどのよく聞くケースです。

治療

治療ですが、うつ病と違い、「気分安定薬」という薬が用いられます。

気分安定薬というは、ざっくりいうと気分の波を抑える目的の薬で、炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギンなどを指します。 また抗精神病薬という統合失調症に使われる薬を併用したり、または単剤で使用したります。 炭酸リチウムやバルプロ酸は採血を定期的にする必要があったり、中毒にならないように副作用をみたりする必要性もあり、侵襲性が高いといわれています。

躁うつ病、特に1型は一生付き合っていかなくてはならない病気ですので、患者さんが納得して治療を続けることが必要です。そのため、エビデンスだけで「この薬を飲みましょう」ときめつけるのではなく、相談の上にどの薬をつかうか話していく必要があります。

躁状態とうつ状態では使う薬が異なります。

躁状態では、気分安定薬のバルプロ酸ナトリウム、炭酸リチウム、抗精神病薬ではアリピプラゾールやクエチアピン、リスペリドンを使います。 気分安定薬は予防効果などがありますが、興奮を速攻抑えるなどの目的で、抗精神病薬のほうが目に見えた効果がある場合があります。 診察時の状態をしっかり診察し、どれほど緊急性があるかを判断して処方調整します。 会話が成立しないほど興奮していたり、先ほど述べた妄想が激しい場合などは入院治療が必要になることがあります。

うつ状態では、先ほどの基部なんて医薬のなかでも炭酸リチウムや、ラモトリギンを使用します。抗精神病薬ではクエチアピン、ルラシドン、オランザピンを用います。 抗うつ薬を使用した場合、躁転してしまったり、急速交代化といって躁うつのサイクルが短くなってしまう可能性があり、基本的に使用しません。 またうつから躁に移行するときは自殺のリスクが高いため、気分の波を扱うのはかなり注意が必要です。

鑑別診断

次に他のいろいろな病気との鑑別についても触れたいと思います。

よく誤って診断されてしまうのはパーソナリティー障害です。 パーソナリティー障害とは、考え方や行動が偏っている病気です。 人間関係、とくに恋人など近い存在の人とのコミュニケーションにおいて、ささいなことで気分が落ち込んだり、逆に攻撃的になったり活動的になったり、一日の中で気分がころころと変わります。自分としては「躁うつ病じゃないかな」と思って相談されたところ、このような気分の波の期間があまりにも短く、面接をした結果、パーソナリティー障害と診断がつくことがあります。

躁うつ病の診断としては、すくなくとも2週間~1か月は同じ状態が持続することが多いので、一定の周期性があるかどうかは鑑別として大事な点です。

パーソナリティー障害についても今後まとめていきたいと思います。

これらの内容は当院のYoutubeをまとめたものになります。

ご興味がございましたら、動画でもご覧ください。

【シモキタよあけ心療内科 SNS】 –InstagramXHP

【院長 副島正紀】 精神科専門医 精神科指導医 精神保健指定医 認知症診療医 –X

TOP