うつ病|シモキタよあけ心療内科|下北沢のメンタルクリニック・心療内科・精神科
うつ病は、メンタルクリニックを受診する患者様の中で非常に多く見られる疾患です。
「気分が落ち込む」「やる気が出ない」という一般的なイメージの他にも、本人が自覚しない形で症状が出ることがあります。以下に病気の説明をいたします。
うつ病の主な症状
うつ病の主な症状は多岐にわたりますが、以下のような症状が典型的です。
1.気分の落ち込み
- 2週間以上、気分の落ち込みや絶望を感じる。(抑うつ気分)
- 前ほど趣味を楽しめなくなったり、興味がなくなる。(興味・関心の減退、活動性の低下)
2.身体的な症状
- 疲れやすくなったり、寝ても疲れが取れない。(易疲労感)
- 睡眠のトラブル。寝付けない、途中で目が覚める、寝過ぎてしまう。(入眠困難、中途覚醒、過眠)
- 食欲の変化。食欲が湧かない、食べ過ぎてしまう。吐いてしまう。(食思不振、過食)
- 原因不明の身体の不調。頭痛、胃痛、手の震え、冷や汗、耳鳴り、動悸など。(自律神経症状)
3.思考や行動の変化
- 「自分は価値がない」「自分は周りに迷惑をかけている」と思う。(自尊心の低下、自責感)
- 頭が働かない。集中力がさがる。注意散漫になる。(思考制止、注意維持困難)
- 死について考える。(希死念慮)
4.その他の症状
- すぐイライラしてしまう。(易怒性亢進)
- 焦る感じがして落ち着かない。(被刺激性亢進)
うつ病の治療
うつ病の治療は、多角的にアプローチすることが重要です。
当院における主な治療方法を紹介します。
1.薬物療法
- 抗うつ薬:セロトニン(神経伝達物質)などのバランスを整えます。改善には早くとも2週間はかかります。セルトラリン、レクサプロ、リフレックスなどが主な薬です。
- 抗不安薬、睡眠薬:抗うつ薬の効果が十分に発揮されるまで、一時的に症状を緩和したり、不眠症状に使用することがあります。
2.心理療法
- 認知行動療法(CBT)は、ネガティブな考え方のクセを修正し、行動を改善する心理療法です。当院の外来の診察時間では時間がどうしても足りないため、心理士によるカウンセリングで行います。
- その他、マインドフルネスなどをご自宅で行うことも有効です。
3.生活習慣の改善
- 基本的には十分な休息が重要です。その上で、適度な運動、適切な食事、睡眠など生活の改善が必要です。外来にて助言を行い、振り返りをします。
4.環境調整
- 休職診断書や傷病手当申請書の作成などを医師が行い、十分な休息をとっていただきます。その後復職に向けたリハビリを医師と計画し、少しずつ復帰へのステップを踏んでいきます。
薬物療法の具体例
うつ病の治療に用いられる代表的な抗うつ薬を以下に紹介します。
飲み始めに吐き気がでる可能性がありますが、1週間程度で気にならなくなることが多いです。
症状や持病の有無など、患者様の状況に合わせて薬は選択していきます。
1.SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
- セルトラリン(ジェイゾロフト)
- エスシタロプラム(レクサプロ)
2.SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
- デュロキセチン(サインバルタ)
- ベンラファキシン(イフェクサー)
3.NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
4.その他の抗うつ薬
似たような疾患
うつ病と症状が似ているために間違えられることがある疾患をいくつか紹介します。
1.甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの不足により、うつ病に似た症状(疲労感、抑うつ気分、体重増加など)が現れることがあります。当院では血液検査で診断を行います。
2.双極性障害(躁うつ病)
双極性障害は、うつ状態と躁状態(過度の興奮や高揚)が交互に現れます。うつ病の治療を始めると躁状態に変化してしまったことで、診断されることもあります。
他にも、発達障害、パーソナリティ障害など、日々の生きづらさを感じて「2次障害」としてのうつ病を発症することもあります。鑑別には医師の診察が必要です。
まとめ
- うつ病は「気分の落ち込み」「意欲の低下」「思考力の低下」などが主に見られる病気です
- 抗うつ薬の使用により改善が見込めます
- カウンセリングも有効です
うつ病は、適切な治療を受けることで回復が期待できる病気です。治療が早まれば回復も早まりますので、一人でお悩みを抱えず、当院にご相談ください。
薬物療法は「一度飲み始めたらやめられないのでは?」と不安に思うこともあると思いますが、決してそんなことはありません。
依存性がない薬、眠くならない薬、などさまざまな選択肢がありますので、医師にご相談ください。